レビュー詳細

冒頭のミクの声と鐘のような音に始まり、たくさんの電子音とギターでゆっくりと奏でるエレクトロソング。機械音然とした初音ミクの高音が、楽曲の情景と合いすぎてる涙腺破壊曲です。

「天国はきっと綺麗でしょうか」という手紙の一節のような呼びかけに始まり、「褪せないままで居て欲しくて」「ボクらは どこで間違えてしまったの」「キミの奥で 閉じ込めて」という言葉が、失った人の存在とそれに追随したい苦しみを私たちに流し込んできます。他方「現実はもっと綺麗でしょうか」という言葉や「逢いに来たんだよ」の後に続く「さよならは消えてしまう 魔法だからキミの声で 唱えてよ」というフレーズには、現実への希望や生きていたい、生きていて欲しいという1番と相反する願いも込められています。いやこんなん泣くて。
個人的には、ラスサビ前に「音のないレコードに針を落として」という歌詞が来るのも好きです。「閑静とした街」というマクロ描写の後に一点のミクロな描写を入れ、ピントをグッと絞った先のラスサビなので感動も一入です。

大きな分断を前に揺らぐ2人の心の在り方を写した歌詞を、ぜひハンカチを片手に味わってください。

#VOCALOID#ききいる#ボカコレ2023春#初音ミク#長文レビュー

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