レビュー詳細

王道ポップスの構成と勢いを増し続けるブレイクビートとの融合で、圧倒的な解像度の青春、夏の一瞬を爆発的に輝かせるfuture bass。
注目すべきはやはりその展開。歌メロを引き立てるピアノ&ストリングス主体のA,Bメロから、サビにかけて一気に音圧を増して降り注ぐドロップは、群青の情景や瑞々しい匂いまで、ぐんと解像度の高まる夏の色彩を様々な角度から運んでくれる。
また、楽曲中盤からインするギターのフレーズは、我々を更なる衝撃の次元へと巻き込んでゆく。2:12以降、1サビ後のギターはさりげなく、メロディーに彩りを加えるように響くが、ラスサビ後半で轟音搔き鳴らすギターソロは、それまでに感じてきたエモを全て回収していくような感情の瀑布となって、我々の記憶に強烈に焼き付けられる。
更に、このようなEDMでは珍しく、アウトロが50秒程度の残響系ギターソロが担当しているのも注目ポイントである。永遠にも感じるようなそのフレーズは、一度爆発した夏の余韻、残り香を余す事無く味わわせる、必要不可欠の要素である。
どこを取っても輝かしい、完成された青春劇の表現に、夏が来る度にまたここに来たいと思えるような充足感を感じられる。この感情こそ、本曲を青春ポップスたらしめる原初の喜びかもしれない。

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