レビュー詳細

フュージョンの色がある、とびまわるピアノとうつくしいストリングス。ハイテンポで畳みかけるように歌い上げるポップでキュートなこの曲は、雨上がりの清涼感を歌う1曲です。
……なんてキャッチで聞きに行くと、ひとによっては嘘にきこえるかもしれません。だって一言で「雨上がりの清涼感」「ポップでキュート」なんて言うには、ちょっと、沈みが大きすぎる。

<奪って 謀って 試して 間違った道を 軽やかな足取りで>

<ずっと抱えている死にたいと生きたいのどちらを見つめても/意味はないのでしょうが やめられないのです>

歌われるのは、そんな日々。どんな事件が?どんな最悪の大雨が?なんて考えてしまう。普通の世間から見たら、ちょっと重すぎる心境。
だけれども、たぶんそうじゃないんです。どんな事件もなくて、毎日がどしゃぶりで、毎日が<間違った道>で。日常ぜんぶが「ちょっと沈みが大きすぎる」状態で。そういう人にとっての、「日常にちょっと元気を貰えるような曲」。世間なんて見ていなくて、きっとそういう私たちにしか向いていないポップだからこそ救われるものがあります。

ひとによっては嘘にきこえるかも、なんて書きましたが。ひとによっては間違いなく純度100%の雨上がりで、この上なく寄り添った美しい虹を見せてくれるはずです。
そんなあなたにこの曲が届きますように!

2023.07.11

レビュアー:御丹宮くるみ

#MikuPOP#VOCALOID#ストリングス#ブラス#元気が出る#初音ミク#長文レビュー#雨

SHARE