「これからどんな風に展開していくんだろう」と考えながら聴く作品でした。
この曲は、一日の出来事を淡々と綴ることから始まり、4分以上かけて綴り終えます。悠長とも思えるこの展開は昨今のトレンドから離れており、それだけで聞く人を選ぶ作品かもしれません。しかし、この直後の「ダビングのような生活」という歌詞に共感する人は多いだろうと思います。
描かれるのはさもありふれた会社員の一日。そこにじっくりと感情移入させられます。そして、サウンドも盛り上がってきてからのこのワンフレーズが来る。なにか核心を突かれたような気がしました。
同じような日々の繰り返しに、焦りに似たものを感じることがありますが、歌詞の最後にあるように「間違い探しのような生活」は続いていきます。仔細に綴られたこの『手記』はきっと、繰り返す日々のなかのささやかな変化を見落とさないため、感情の変化を書き留めるためにあるのでしょう。
些細な日常をドキュメンタリーのように魅せる、エモーショナルな作品でした。
レビュー詳細
- タイトル
- 手記 / 小夜/SAYO, 初音ミク
- 投稿者
- 無色透名祭Ⅱ
2023.11.04